第6回企画展
「鉄路を翔けた鳳凰~お召列車と貴賓室~」

開催期間 2019年5月16日(木)~ 2019年7月15日(月・祝)
開催場所 本館2F 企画展示室

はじめに

今回の企画展は、新天皇即位を記念して開催しました。天皇が各地へ外出する「行幸」では、様々な交通手段が用いられます。鉄道は開業以来、歴代の天皇・皇后の行幸啓に際して、主要な交通手段として用いられてきました。皇室用の臨時列車である「お召列車」、駅利用時の休憩所となる「貴賓室」には、鉄道の知られざる一面があります。今日に至るまで、行幸啓に際して鉄道が果たしてきた役割について、お召列車牽引機の装飾品や貴賓室の特別なしつらえなどを通して紹介しました。

企画展の内容

1.プロローグ

本展をご見学いただく上での3つのキーワードである「お召列車」「貴賓室」「鳳凰」について解説しました。「お召列車」とは、皇室専用の臨時列車のことで、公務に伴うご移動の際、貸切列車として使用されます。「貴賓室」とは、皇室や海外からの賓客などが列車で移動する際に駅で休憩するための部屋です。内装や調度品も一般用の待合室とは異なる仕様となっています。蒸気機関車の除煙板に取り付けられた装飾の「鳳凰」は古来中国の瑞鳥で、麒麟、鹿、蛇、亀、燕などの特徴を取り入れた容姿で表されています。

本展のキーワード3つについてのご紹介

C51形114号機が牽引するお召列車(昭和20年代)

2.明治の行幸啓と鉄道

明治時代、各地で行われていた鉄道路線の開業式は明治天皇の臨席のもと行われました。また、トンネルや橋梁などの大規模な鉄道設備や軍事演習の視察など、様々な地域への行幸啓においても、開業したばかりの鉄道路線が利用されました。

イラストレイテッド・ロンドンニュース/日本の鉄道開業:天皇の到着 1872(明治5)年12月21日

東京汐留鉄道御開業祭礼図 三代歌川広重筆 1872(明治5)年

3.大正から昭和前期の行幸啓と鉄道

大正期から昭和初期には、大正天皇および昭和天皇の御大典や大正天皇の御大喪などに伴う行幸啓が短期間に複数回行われ、これに伴い鉄道による行幸啓の形式が固まっていきました。また、駅舎内への貴賓室設置やお召列車を牽引する蒸気機関車への装飾など、全国各地で行幸啓のための様々な準備が行われるようになりました。

除煙板を飾った鳳凰の装飾品や機関車の全面を飾った菊花紋章

行幸啓に関連した資料を紹介

4.昭和後期から平成の行幸啓と鉄道

昭和後期の行幸啓は、全国各地をめぐる全国植樹祭と国民体育大会、全国豊かな海づくり大会への出席が中心となっていきました。1964(昭和39)年に東海道新幹線が開通すると新幹線も利用されるようになりました。新幹線や在来線、私鉄、また中長距離の移動には飛行機も利用され、時代の変化とともに、行幸啓の形も変わってきました。

神戸駅・京都駅・新大阪駅の貴賓室で使用されていた調度品等

特別に仕立てられた京都駅貴賓室の調度品や食器類

開催中の見どころ

もりだくさんの関連イベントを開催!

企画展開催中、企画展示室内で展示しきれなかった資料を紹介した特別展示「お召列車と菊花紋章」をはじめ、旧二条駅舎の貴賓室公開、クロージングトークショー、実物0系新幹線のお召列車仕様などを開催しました。

本邦初公開資料!!

今回の展示の目玉となった資料の一つ「一号御料車(初代)彩色図」は、2009(平成21)年に東野進氏によって発見された明治初期の鉄道車両図面です。神戸工場製作を示す記述もあり、1877(明治10)年2月5日の京都―神戸間鉄道開業式の際に明治天皇が初めて乗車した御料車の特徴を見ることができます。

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