第11回企画展
鉄道150年のあゆみを彩ってきた色の世界を堪能!
「鉄道いろいろいろは展~150年の歴史を彩った鉄道のあゆみ~」

開催期間 2022年10月8日(土)~2023年2月12日(日)
開催場所 本館2F 企画展示室

はじめに

1872年10月14日(明治5年9月12日)、新橋~横浜間に鉄道が敷設されてから、2022年で150年となることから、鉄道開業150年を記念した企画展を開催しました。本展では、鉄道開業から現在まで、新幹線・特急・通勤列車など、様々な場面で運行された鉄道車両をキーワードに鉄道のあゆみをひもときました。特に、関西の鉄道を中心に車両の色、沿線の様子、様々なサービスに注目し、国鉄・私鉄の特徴的な車両やその特色を紹介しました。

企画展の内容

1.関西を走った鉄道車両たち
鉄道車両の「色」に注目して鉄道のあゆみをみる

国鉄色として知られる「湘南色」の登場から、国鉄車両には様々な色が登場しました。電車・電気機関車・客車などに標準色が定められ、全国に広がる鉄道網の延伸とともに、鉄道の発展を彩ってきました。運行路線によって車両の塗色が変えられた101系・103系の1/20模型等を紹介しました。

101系・103系車両模型の数々

車体塗色と関連した色彩の車両取扱説明書

2.はじまる鉄道、広がる路線
色鮮やかな絵画・ポスターの世界

明治時代から現在まで、鉄道は人々の足となり、走る風景が地域の姿にもなってきました。鉄道が走る風景は、当時の最新科学技術の象徴として人々の注目を集め、錦絵やパンフレット、ポスターなど色鮮やかな絵画で紹介されています。
本展では、鉄道開業を紹介する錦絵や、大正期の観光パンフレットやその原図、デザインが凝らされたポスター、各時代の絵葉書を中心に、色鮮やかな資料で鉄道のあゆみを紹介しました。

「赤絵」と呼ばれた開化絵の世界

吉田初三郎の鳥瞰図原図を一挙公開

3.様々なサービスが生まれた
鉄道のあゆみと共に生まれてきた様々なサービス

快適な車内を形作った特徴的な座席、鉄道網の拡大とともに進んだ沿線の開発、乗る鉄道から楽しむ鉄道へと広がった様々なツアーや駅弁、鉄道のあゆみには一分野にとどまらない文化があります。あゆみと共に生まれてきた様々なサービスを紹介しました。

鉄道たびを彩った駅弁の掛紙等

快適な車内を彩った座席 左より近鉄12200系車両・117系車両・151系車両の座席

4.特別展示「エリザベス女王が乗車の近鉄特別座席」

鉄道には様々な方が乗車され、時代を彩ってきました。本展の後半には、特別展示として、英国エリザベス女王夫妻が1975(昭和50)年5月に三重県伊勢志摩地方を訪問時に乗車された近鉄特急の特別座席や、昭和天皇の御大典時に乗車された新京阪鉄道の貴賓車の座席を紹介しました。

近鉄特急12200系ク12356号車の特別座席とテーブル
(近鉄グループホールディングス株式会社所蔵)

阪急1500号貴賓車椅子(当館所蔵)

5.色にこだわった展示室内空間

企画展のエントランス

企画展示室内壁面

6.企画展をギュッと絞った1冊を販売

図録も作成し、当館のミュージアムショップで販売しました。鉄道の風景が描かれた錦絵、様々な塗色の車両模型や記念入場券など、鉄道150年の歴史を色に注目した企画展の内容を、ギュッと絞った1冊。企画展開催中には展示替えも実施したため、見逃した資料も掲載されているかも?!

関連イベントも開催

日本最大級の規模を誇る鉄道ジオラマでは、企画展にあわせたプログラムをお客様にお楽しみいただきました。蒸気機関車模型の走行は開館以来、初登場でした。

企画展開催期間中(2022年11月3日(木・祝)~6日(日))に115系電車(湘南色編成)を特別展示しました。1949(昭和24)年頃から、車両の暗いイメージを変えるための取り組みの中で生まれたのが湘南色でした。

記念シンポジウムの開催

会期中に、鉄道開業150周年記念シンポジウム『関西の鉄道と鉄道における研究開発活動~鉄道150年、技術はいかに発展してきたのか?~』(10月15日(土))を開催しました。
「二つの鉄道技術研究所―国鉄と満鉄―」(澤井実氏・大阪大学名誉教授)と「私鉄王国関西における高速電気鉄道の発達」(廣田誠氏・大阪大学大学院教授)の2本の基調講演と職員を交えたパネルディスカッションをおこない、鉄道のあゆみを技術の視点で振り返りました。

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