第5回企画展
「LoveTabi展 ~時代とハートをうごかす列車旅~」

開催期間 2018年9月22日(土)~ 2019年1月29日(火)
開催場所 本館2F 企画展示室

はじめに

1872(明治5)年に日本で鉄道が開業しました。鉄道の発展とともに、人々は長距離移動が楽になり、「旅」を楽しむようになりました。本展を開催した2018(平成30)年は、日本での鉄道の開業など様々な文明が開化した「明治」元年から満150年の年でした。第5回の企画展では、鉄道が時代とともに「旅」に変化をもたらしたことに着目し、4つのテーマに分け、「鉄道の旅」の楽しみ方を様々な視点から紹介しました。

企画展の内容

1.旅を変えた新時代

明治の初頭、鉄道の開業から間もなく、五大私鉄(日本鉄道・北海道炭礦鉄道・関西鉄道・山陽鉄道・九州鉄道)などの台頭により瞬く間に拡がった鉄道網のおかげで、人々は長距離移動が容易になりました。官設鉄道と五大私鉄は利用客獲得のために次々と画期的なサービスを導入し始めました。日本で初めて民間資本で設立された日本鉄道は順調に収益を上げ、1892(明治25)年からは遊覧回遊列車の運行も始めました。山陽鉄道は1898(明治31)年からお座敷列車や食堂車や寝台車など新たな車両を次々と登場させました。明治の鉄道黎明期に生み出された様々な鉄道のサービスや考え方は現在でも活かされています。

お座敷列車をイメージした模型(縮尺約1/10)

山陽鉄道の食堂車内の写真(1899(明治32)年頃)

2.ハートを盗んだ流行(はやり)旅

日本経済が著しく成長していった昭和中期頃から、人々は旅を楽しむようになりました。1960年代に一大ブームになったのが「新婚旅行」。国内旅行が主流でしたが、1964(昭和39)年には日本人の海外渡航が自由化され、海外へ観光に行ける時代になりました。1970(昭和45)年から展開された国鉄のキャンペーン「ディスカバー・ジャパン」は旅が趣味として定着してきた世相と見事にマッチし、ヒットしました。また、ほぼ同年に登場した雑誌では日本各地への旅行が特集され、流行の服装で訪れる「おしゃれ旅」に憧れた女性が旅に出ていました。

旅行誘致ポスター「ディスカバー・ジャパン」1975(昭和50)年

旅行が特集された雑誌と「おしゃれ旅」の流行の服装一例(1970(昭和45)年頃)

3.旅を作る列車たち

列車はもはや旅先への移動手段ではなく、乗車そのものが目的へと変化しつつあります。日本の各地には、四季折々の表情を見せる自然を列車ならではの景色として楽しむことができる列車が多数存在します。車内で沿線の名産品を食すのも楽しみの一つです。かつては、長距離移動のお供として食堂車などが存在しましたが、現在では車内の食事をメインにした列車が運行されています。
観光列車に乗って、沿線の景色を撮って、料理に舌鼓を打って・・・JR各社の最新の観光列車を通して紹介しました。

観光列車の車内で使用されている食器の紹介

紹介した観光列車の一例 JR西日本「〇〇のはなし」

4.今を楽しむ京都旅

JR西日本山陰本線の京都駅から園部駅までの区間は、1988(昭和63)年より「嵯峨野線」という愛称で親しまれています。2019(平成31)年3月16日、当館最寄りの嵯峨野線に「梅小路京都西駅」が誕生することを記念し、嵯峨野線沿線を中心とする観光地をイラストマップで紹介しました。

嵯峨野線沿線を中心に観光地をイラストマップで紹介

「今を楽しむ京都旅」のコーナーの一角

開催中の見どころ

企画展を一層盛り上げる関連イベント開催!

今回の企画展では、JR各社の観光列車車内のVR体験や「旅」をテーマとした寄席、ヘッドマークトラベルスタンプラリーなど、幅広い年齢層の方に楽しんでいただけるように、様々な関連イベントを開催しました。

展示資料点数はなんと約300点!!

企画展の展示点数はなんと約300点!!開催期間中には一度、展示替えをしました。 鉄道と旅の歴史の長さを資料の多さが物語っているようです。鉄道ファンのみならず、幅広い年齢層の方に、多くの種類の資料を紹介できたのも今回の企画展の特徴です。

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