第2回企画展 京都駅開業140周年記念企画展
「洛中洛外鉄道絵巻 京の都の鉄道史」

開催期間 2017年4月28日(金)~7月11日(火)
開催場所 本館2F 企画展示室

はじめに

昔から交通の要衝だった京都。
1877(明治10)年2月5日に京都駅で天皇臨席のもと開業式が行われました。1895(明治28)年には日本初の電気鉄道として京都電気鉄道が路面電車の運行を開始するなど、京都は鉄道の先進地でした。
当館の第2回企画展では、京都市の鉄道をテーマに、四代に渡る京都駅のあゆみや京都市周辺を“彩る”鉄道の歴史についてご紹介しました。

企画展の内容

1. 京都駅 ~開業から現在まで~

赤レンガの洋式建築

1869(明治2)年に東京と京阪神を結ぶ鉄道を建設することが政府の会議で決定され、1877(明治10)年に京都-神戸間が開通しました。
初代京都駅舎は外国人技師が設計した洋式建築で、時計塔が中心に配置された2階建の赤煉瓦造でした。七条通りに面していたことから、「ひっちょのステンショ」(七条のステーション)という愛称で市民から親しまれていました。当時は、旅客も貨物も一つの駅で取り扱われていました。

石造のルネッサンス建築

1889(明治22)年に東海道本線の新橋-神戸間が全線開通すると、それまでの駅舎では手狭となっていきました。そのため、改築計画が進められ、1914(大正3)年に京都で行われた大正天皇の即位式の際には、二代目の新駅舎が使われました。これに合わせて貨客分離が行われ、貨物の取り扱いは梅小路駅(現在の京都貨物駅)に移されました。2代目の駅舎はルネッサンス建築様式で、本屋の中央に時計が配置された2階建の檜造でした。

鉄筋コンクリート造

戦火を逃れた2代目駅舎でしたが、1950(昭和25)年に火災で焼失しました。しかし、鎮火後の関係者の対応は非常に早く、速やかに出札・改札・待合所などが設置され、その日のうちに駅業務が再開されました。
そして、1年半後、鉄筋コンクリート造の3代目駅舎が完成しました。商業スペースを持つ非常に大規模な駅舎で、初代駅舎の約12倍の大きさでした。

地上16階、地下3階建

1997(平成9)年、平安遷都1200年記念事業の一環として新築された4代目駅舎の使用が開始されました。
駅ビル外観のデザインコンセプトは「歴史への門」で、壁面には碁盤の目がデザインされるなど、随所に京都のイメージが反映された設計となっています。

2. 京都駅を彩ってきた車両や列車

開業以来、東海道本線の要所の一つであると同時に、山陰本線、奈良線、湖西線の発着駅として重要な役割を担ってきた京都駅の歴代発着列車や車両の一部を駅舎の年代ごとに紹介しました。

[ 初代 ]
京都駅時代に活躍していた機関車
  • 7010形蒸気機関車
    1873(明治6)年製造/京神間の貨物用として4両が輸入されました。
  • 1800形蒸気機関車【左写真】
    1881(明治14)年製造/京都-馬場(現膳所)間の急勾配用に設計されました。
[ 二代目 ]
京都駅時代に活躍していた列車・車両
  • 特急「富士」︓1929(昭和4)年運行開始
    日本初の列車愛称を掲げ東京-下関間で運行開始しました。
  • 52系電車︓1936(昭和11)年運行開始【左写真】
    編成全体が流線形であったため「流電」と呼ばれ親しまれていました。
[ 三代目 ]
京都駅時代に活躍していた列車・車両
  • 準急「比叡」1952(昭和27)年運行開始【左写真】
    大阪-名古屋間を結ぶ列車として登場しました。
  • 特急「かもめ」1953(昭和28)年運行開始
    戦後初の関西・九州間を結ぶ特急として京都―博多 間を運行しました。
[ 現在 ]
活躍している車両
  • 特急「サンダーバード」︓2001(平成13)年運行開始
    特急「雷鳥」の後継車として登場しました。【左写真】
  • 321系電車/2005(平成17)年運行開始
    東海道本線や湖西線を走る通勤形電車です。

3. 京都市の交通・私鉄

京都市や周辺を走る私鉄について、写真や乗車券などの資料を使って紹介しました。

紹介した交通・鉄道

●京都電気鉄道 ●京都市電 ●京都市営地下鉄 ●阪急電鉄株式会社 ●京阪電気鉄道株式会社
●近畿日本鉄道株式会社 ●京福電気鉄道株式会社 ●叡山電鉄株式会社 ●鞍馬山鋼索鉄道
●奈良電気鉄道 ●新京阪線

開催中の見どころ

当時がわかる資料がたくさん︕

展示室を5つのパートにわけ、約230点の資料を展示しました。京都駅貴賓室の調度品や建設資料をはじめ、乗車券や絵はがき、模型など、その当時の様子がわかる資料を展示しました。また、写真資料などを多数用いたオリジナルの歴代京都駅の紹介映像も好評でした。

なつかしの︖新鮮な︖資料がたくさん︕

昔の貴重な絵はがきやパンフレット、写真を始めさまざまな資料を使ってバラエティー豊かに、140年もの長きに渡る京都の交通の歴史を紹介しました。現在の京都駅が誕生したときの様子を紹介したパネルの前では「懐かしい」といったお声も多数いただきました。

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